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【感想】('A`)は樹海行きの切符を買うようです

 
 地下一階。僕の両手は空いている。

 ギコ猫がいた。殴る。
ちんぽっぽがいた。殴る。殴られ、殴る。
ファンファーレがどこかで鳴る。
ちんぽっぽがいた。殴る。
ギコ猫がいた。殴る。
ちんぽっぽがいた。殴る。
心がささくれ立っていた。

 ナマクラソードを拾った。
何も考えずに装備する。

『ドクオはナマクラソード-1を装備した!
 なんと! ナマクラソードは呪われていた!』

 僕はその場で大きく息を吐いた。

('A`)「こんな進み方してたら絶対死ぬな」

 死にたいのか? と問いかける。

('A`)「死にたいのかもしれないな」

 自分の口の端に歪んだ笑みが貼りついていることがわかる。
死なないけどな、と僕は呟いた。


                                               (本文中より一部抜粋)


■('A`)は樹海行きの切符を買うようです
  http://hoku6363.fool.jp/jukai-SIN/jukai-SIN00.html (リンク先:ブーン速。さん)

              作者: ◆U9DzAk.Ppg   ジャンル: 現代・青春

 
 
【紹介・あらすじ】-----


 それは絶望とともに現れる。
 高校三年生、夏休み最後の日。
 自己の境遇を悲観し、不安を胸に家を飛び出したドクオは、
 駅の路線図に聞きなれない駅名を発見する。

 そうして買った一枚の切符──
 『 樹海 』 行きへの切符は、不可思議な冒険への第一歩。
 一人の少女を救うため、彼は迷宮へと足を踏み入れた。


【感想】---------


※ 今回は物語の核心部分に関わるネタバレを含みます。
   以下は作品を読み終えたあとでお読みください。


(感想書くと言いつつ結構な時間が経ってしまった……。
 今回読み直したことで、通算にして3度この作品を読んだことになりました。
 読むたびに新たな発見があって面白いです)


 ローグタイプRPG、つまりあの”不思議のダンジョン”を舞台にした……
 という紹介はしないことにします。
 非常にジャンル固定しづらいというか、ある良い意味でとてもVIP的な作品。

 例えは悪いかも知れないけれど、第一印象は ”一流シェフの作った渾身のB級グルメ” 的な感じでした。
 文章の端々から匂い立つようなセンスと、一見行き当たりばったりのようで計算され尽くした緻密な構成。
 達者な実力を漂わせながら、敢えて題材はゲーム、そしてふんだんに盛り込まれた小ネタ。

 最高の素材を用い、丁寧な灰汁抜きを施し、その上であえてグルタミン酸の塊をぶち込んだような……
 例え様のないエンタだと思います。
 そう言った意味では、『 ('A`)ドクオはキモいようです 』 に通じるものを感じました。
 ニュアンスとして伝わるかはわかりませんが……w


 ※ ※ ※


 冒頭で述べたとおり、自分の中では 『 不思議のダンジョンというゲームの話 』 という捉え方をしていません。
 『 樹海 』 とは言うまでもなくドクオが戦う舞台なのだけれども、それは物語の本質では全くない。
 彼の青春物語、成長物語という一本の芯に寄生する、強烈で、ストレンジな障害の投影だからです。

 それは、迷宮ゲーム 『 樹海 』 という舞台の描かれ方から垣間見れます。
 『 樹海 』 は必要以上の立体感を持たず、あくまでデジタルなプログラム、
 ただ定められたルールに則った、無味乾燥の箱庭に過ぎないのです。

 まず、『 樹海 』 に出て来る敵キャラクターの殆どには、顔文字がありません。
 ブーン系の読者にとっては名前を聞くだけで 『 ああ、あいつか 』 と理解できるキャラクター達ですが、
 彼らは登場人物ではなく、プログラムに沿って動くだけのロボットです。

 勿論、強いられたルールが、あの 『 不思議のダンジョン 』 である以上、
 読む側がスムーズに世界観へと誘われ、かつロールプレイの享楽を演出してくれているわけですが、
 それは物語の中枢ではない、というのがポイントだと思うのです。


 抗えない神の意志であり、無機質に立ちはだかる恐怖の根源。
 ルールという枷に束縛されているのは、現実との唯一の接点であるツン。
 『 樹海 』 の存在──ドクオの絶望的な毎日に食い込む異端でありながら、
 同時にそれは、彼に生きる目的を与えてくれる、という更なる不合理。

 しかもそのルール自体が面白く、麻薬的な愉しさに満ちており、
 少年に幾度もの挑戦を促しつつも、読み手はそれが苦にならない……。

 ほとほと、 『 少年の恋愛・成長物語 』 と 『 不思議のダンジョン 』 の融合が、
 これほどまでに耽美な味わいを与えてくれるものかと驚嘆させられます。


 ※ ※ ※


 今回、記事の冒頭で抜粋している文章がこれ↓なのには、疑問を覚える方もいらっしゃるかも知れません。


 > 地下一階。僕の両手は空いている。

 > ギコ猫がいた。殴る。
 >ちんぽっぽがいた。殴る。殴られ、殴る。
 >ファンファーレがどこかで鳴る。
 >ちんぽっぽがいた。殴る。
 >ギコ猫がいた。殴る。
 >ちんぽっぽがいた。殴る。
 >心がささくれ立っていた。



 というのは、ラストバトルでのツンとのやり取りを除くと、
 自分にとってこの部分がかなりお気に入りなんですね。

 救いたいと思った憧れの女の子が友人の彼女であると知り、
 しかもあっけらかんとその事実を伝えられた時の、このドクオのやさぐれ具合がたまらない。
 自棄な気持ちでレベル上げを作業的にこなす彼の心理には非常に共感を覚えます。
 どうにもならない現実にぶち当たりながら、それを認め、ジグザグ移動で前に進む彼の姿には、
 非常に感情移入させられ、同時に、 『 プレイヤー 』 としても応援したくなってきますw

 未熟で、人間臭くて、勝手で、自虐的で、格好悪くて、不器用で。
 そんな彼が、決して自分のほうを見てくれないであろう一人の女の子のために 『 バールのようなもの 』 を振るう姿は、
 どんなにニヒルな悪役にも、完全無欠のヒーローにも負けない魅力に溢れており。

 個人的には 『 正義のヒーロー 』 のドクオと双璧を為す 『 大好きなドクオ 』の一人です。


 ※ ※ ※


 ツンとドクオの織り成す、知的だけれどもどこか退廃的な会話、
 シニカルなやり取りに見え隠れする物悲しさが──、たまらなく愛しく感じられ。
 色を失ってゆく草原の様子が、モノクロームのビジョンとして瞼の裏に焼きついている限り、

 おそらく近い将来に、四度目の 『 樹海探検 』 へと、筆者を誘うのでしょう。

  


 
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